療育支援について

療育とは

「療育」とは、障害のある子どもたちが社会的に自立することを目的として行われる治療・教育のことです。医療・訓練・教育 ... 意識も高くなっているさなか。発達障害と向き合い、子どもがより自立した生活を送れるように支援するために、療育の必要性はますます高まっていると言えるでしょう。

主に発達障害の療育においてよく行われている療育で、実際実践したことのあるものについて紹介します。トータスキッズでの関わり方は、主にABAが中心ですが、構造化、視覚化なども取り入れています。

応用行動分析(ABA)

TEACCH

PECS

RDI

音楽療法

その他

応用行動分析(ABA)

ABA(Applied Behavior Analysis)を日本語訳すると「応用行動分析」。別名「行動療法」といわれます。その基本原理は下記のようなものです。

ABAの基本原理

•ある行動をした後に、ご褒美がもらえると、その行動が増加する。

•しかし、ある行動をしても、ご褒美がもらえない、あるいは不快な出来事が起こるとその行動は減少する。

ABAに基づく療育

ABAに基づく療育では、この原理に加え個を取り巻く環境を整えることで、自然に学ぶことが難しい発達障害のお子様の学びを促したり、適切な行動を増やします。

ABAをもっと学びたい人に

●AABAを知るためにお薦めの本:

「つみきBOOK」「つみきプログラム」

会員限定の書籍ですが、家庭療育に取り組まれる方、教育関係の方には、このつみきプログラムを是非入手してほしいと思います。ABAの療育マニュアル「The Me Book(Ole Ivar Lovaas著)」を元に作られたこの書籍には、発達段階ごとに何をどう教えるか、事細かにまとまっています。

●AABAを知るためにお薦めのDVD:

「つみきBOOK付属ビデオ(DVD)」

●ABAのことならここへ:

「NPOつみきの会」「ADDS」

TEACCH

TEACCHはTreatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Childrenの略。日本語訳すると、「自閉症及び近縁のコミュニケーション障害の子どものための治療と教育」。

TEACCHでは、自閉症の人たちの特性を一文化としてとらえ、共に生きようというのが理念の一つ。目の不自由な方のために、点字があるように、足の不自由な方のために、車椅子やバリアフリーの建物があるように、自閉症児には自閉症にあった支援を図ろうというのです。例えば、自閉症児は、「環境の変化に弱い」「聴覚より視覚的なアプローチが強い」という特性を持っていることが多いため、毎日のスケジュールを表にして見通しがつくようにしてあげたり、言葉ではなく、写真や絵カードなど視覚的要素を使って意思の疎通を図ったりするなど、環境を構造化し、何をするべきか視覚的にわかりやすく示すことで、子どもたちのスキルの習得を促します。

TEACCHをもっと学びたい人に

●TEACCHを知るためにお薦めのDVD:

「親と教師のための自閉症の人が求める支援」

TEACCHについては、書籍より上記のDVDを見るのが一番わかりやすいと思います。このシリーズの、「自閉症の子供の自立課題」もお薦めです

●TEACCHのことならここへ:

「TEACCHプログラム研究会」

TEACCHを学びたい方はTEACCH研究会。講座・実践研究会などきちんと取り組んでいらっしゃいます。神奈川でしたら、TEACCH研究会神奈川支部。講座なら、代表の川崎医療福祉大学の諏訪先生ものがお薦めですが、一番のオススメは実践を通して学ぶワークショップ。これは是非多くの人に体験してもらいたいです。

PECS(Picture Exchange Communication System)

日本語にすると「絵カード交換式コミュニケーションシステム」。最初は、自分の欲しいものと絵カードを交換するということから初めて、徐々に自分で絵を見分けたり、文章を組み立てたり、系統立てたコミュニケーションができるようにしていきます。

PECSで代表的なのは、「コミュニケーションブック」。これは、マジックテープでくっついた小さな絵がいっぱい貼ってあるバインダーのようなものです。子供は、ここから「ジュース」「ください」など必要な絵を選んで、カードを渡したり、順番に並べながら文章を作り、自分のやりたいことを他人に伝えるのです。

視覚的なカードを使うところは、TEACCHに似ていますが、PECSでは、プロンプトや強化子を使うなど、行動分析学を使いながら、より正確なコミュニケーションスキルをつけようとしているのが違いだと思います。

PECSをもっと学びたい人に

●PECSのことならここへ:

「ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)」

RDI(Relationship Development Intervention)

日本語では対人関係発達指導法といわれます。ABAと同じく、直接、当人に働きかけることにより、発達障害の改善を狙っているのですが、ABAが「学ぶ力が弱い発達障害児に一つずつスキルを教え込んでいく」スタイルであるとすれば、RDIは「発達障害児を健常児のように発達させることにより、教え込むのではなく、自分で学ぶ力をつける」というもの。言い換えると、RDIでは、「健常児の発達過程を学ぶ」のです。私達のコミュニケーションの約7割は、非言語で行なわれていると言われていますが、RDIは相手を参照したり、表情で強化したりと、非言語でのコミュニケーションを重視します(一方、ABA、特にVBでは、言語での指示や強化が多いです)。

RDIにおける療育の特徴の一つに「Parent Guided Participation Program」というものがあります。これは、親が子のよきガイドとなることにより、子は親を見習うことをはじめ、自分で学んでいく力をつけるようになるというもの。通常、療育は「子供のためのもの」という感じがしますが、RDIでは、子供を訓練するより前に、親が子供にどう関わるかの訓練をやるのです。RDIにしろ、ABAにしろ、療育の成功のポイントはセラピストの指導力にかかっているところがあります。そのため、指導者である親をまず訓練するということには意義を感じます。

また、ABAでも、初期課題である「模倣」を重視しますが、RDIでも、見る(参照する)ということをとても重要視しています。TEACCH、ABAに比べ歴史は浅く、日本でコンサルテーションのできる方も少ないですが、対人スキルの育成や、保護者プログラムなど学ぶことも多くこれからの実践研究の進展により日本でも広がっていくことを期待しています。

RDIをもっと学びたい人に

●RDIのことならここへ:

「Nagoya Connect & Share」

RDIは毎年アップデートされているプログラムなので、まずは白木先生の1日セミナーに参加すると良いと思います。

音楽療法

音楽療法(music therapy)は、音楽を聴いたり演奏したりしながら、心身の健康の回復、向上をはかるもので、音楽を聴くなどの受動的音楽療法と、歌ったり楽器を演奏する能動的音楽療法との2つに分かれます。

「療育」という点から、お薦めするのは能動的音楽療法。リズムなどの模倣力を身につけたり、先生やお友達との関わりから社会性を伸ばしたり、音楽を「ツール」として、個の力を伸ばせる可能性が沢山あると感じています。ABAを学ばれた音楽療法士のグループもあり、そういう方に学ぶというのもよいでしょう。

音楽療法をもっと学びたい人に

●音楽療法を知るためのお薦めの本:

「音楽する人間」(クライブ・ロビンズ著)

子供に合わせて、即興で音楽を創り上げていくノードフロビンスの手法が見られるこの付属のDVDは素晴らしかったです。「音楽には素晴らしい多くの可能性がある」と感じました。

「音楽療法士のためのABA入門」(中山晶世、二俣泉、竹内康二著、春秋社)

音楽は、癒しだけでなく、子供の社会性や、自立を後押しする力を持っている。ABAに基づく指導のできる音楽療法士の方が増えることを願っています。

その他

トータスキッズ として推奨しているのは最初にあげた5つですが、検索すると多くの療法があるため、ここでは名前だけあげておきます。可能性を追求したい人は、検索して自分の目で確かめてみてください。

  • ポーテージ
  • モンテッソーリ
  • シュタイナー
  • ムーブメント療法
  • SCERTS
  • LEAP
  • 武蔵野東教育センターの療育プログラム
  • 精神療法
  • 精神分析
  • 受容的交流療法
  • 感覚統合
  • 作業療法
  • 抱っこ療法
  • メガビタミン
  • 薬物療法
  • 食事療法
  • イルカ療法
  • キレート療法